仕上げをしないという仕上げ

数年前に関わらせてもらったアトリエの現場写真。

ほとんど荒々しい合板のまま。小口もそのまま。ビスもそのまま。構造も見せてしまう。

仕上げをしないという仕上げです。


この住宅はコスト条件が「著しく厳しい」という理由が大きいのですが、このような方法でもなんとか豊かにならないかと設計では試行錯誤します。

ここでは木の打ちっぱなしのような空間とすることでまとめ上げています。これは施工途中の写真なのですが、もちろん水周りなどには最終的にきちんと手を入れて、支障がないように仕上げを重ねています。


ローコスト = 安い価格、ということでなく、

ローコスト = 適正価格、と考えるのが適切なのですといつもご説明しています。


予算が少ないから安いものを選べば良い、または、選ぶしかない、と安易決めて多くを諦めるのではなく、限られたコストの枠の中で、求める品質、求める空間をきちんと実現させるべく、必要なところにはお金も手間暇もかけて、そうでもないところはそれなりに、不要なところは削ぎ落とし、適正に選択して組み立てていくことが、ローコストの手法です。


なので、設計の立場からすると、通常の方法では行うことのないような検討を初期の段階から細部まで詰めて行うことが多く、施工コストと反比例して逆にとても気を使うことになります。


関わる下請け業者の数や、職人さんの手間数を減らすことを設計段階で時間を掛けて考慮している反面、下地がそのまま仕上げだったりするので、「逃げ」(組み上げるための余白・余長がなかったり、あとから隠すことの出来ないことを言います)がないことも多く、施工する側も、実は結構大変だったりするんですね。


下地が仕上げなので、思っていたような材料が入らないこともあり、かといって余分を見込めなかったりするので、ときにはお施主さんの割り切りだったり、そういうアクシデントも、家造りのイベントとして楽しんだり、多少のことは、まあ気になるがあとは住みながらなんとかしょう〜、というおおらかな考えが必要になってきたりします。


クライアントとの対話のなかで、あ、これで良いんだ、と気付かされることも多いです。


ローコストでは、お金のゆとりの変わりに、「心のゆとり」が求められます。

なので、上手く行ったローコスト住宅では、クライアント、設計、施工、皆の思いがあらわれた、おおらかな住宅になっていることが多いような気がしています。






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